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2008年5月31日 (土)

夏を感じるクラッシック10選その4

第1位 マーラー交響曲第3番
 最初は表題が付けられていて、夏の交響曲、となっていた。
 ハンブルクの劇場で指揮者をしていたマーラーは、夏を避暑地のシュタインバッハで過ごして、そこで夏休み作曲家をしていた。
 弟子のワルターが訪ねてきて湖や岩山を眺めていると、この辺の風景はみんな曲にしてしまったから見る必要はないよ、と言ったとか。
 遠くの駐屯地の軍楽隊のラッパとか、驢馬のいななきとか、郵便馬車のラッパとか、そういう生活のノイズも含めて世界が音で再現されている。
 第2楽章は高原のお花畑。
 第3楽章は森の動物で、郵便馬車のポストホルンが幽玄の雰囲気を加えている。
 第4楽章は夜、
 第5楽章は少年合唱団の鐘の音だかカッコウの声だかの楽しい楽曲。
 そして、長大な終楽章は、真夏の真昼のような、圧倒的で豊かで荘厳な、世界が調和して愛に満ち溢れるようなクライマックスで終わる。
 なお、演奏時間100分は交響曲史上最大で、今なお破られていない。

第2位 ブルックナー交響曲第4番
 ブルックナーの交響曲は深いドイツの森を思わせる。
 どの交響曲もきまって、まず、生命の息吹に満ち溢れるざわめきの中から始まる。
 そして、梢が風に翻って輝き、壮大な森の全景が展開していく。
 次に、鳥のさえずりが聞こえてくる。
 そのあと、遠くから狩のホルンが鳴り響いてくる。
 ま、聞いてみないと分からないだろうが、聞いてみれば、確かに聞こえる、と思う。
 とりわけスケルツォがどの曲も素晴らしい。4番は狩のスケルツォと呼ばれる。ホルンの信号が遠く近く呼び交わす。
 2楽章のゆっくりと踏みしめながら歩くようなアダージョもいい。後半で明るい光がいっぱいに差し込むあたりは、夏、高い山に登るときに亜高山帯の鬱蒼とした針葉樹林を登っていき、ついに稜線に出る瞬間、の、あのなんともいえぬ幸福感に通ずるものがある。
 ということで、夏山に登る時には、よく頭の中をメロディーが廻っている。

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