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2014年8月25日 (月)

「三陸海岸大津波」吉村昭

吉村昭の本は、どれも怖いです。
次々と人を襲う羆と住民の話、「熊嵐」、嵐の夜に塩を焼いて北前船を誘い難破したら積荷を奪う離島の寒村の話「破船」など。
 
記述が明瞭簡潔で本質をずばりと突いてくるからでしょう。
「いつの間にか闇の海上では戦慄すべき大異変が起こり始めていた。」
「遊佐巡査は、俗に伝えられる狐火かと背筋の凍るのを意識してたたずんでいたという。」
「海上の不気味な大轟音に驚愕した人々は、家をとび出し海面に眼をすえた。そこには、飛沫をあげながら突き進んでくる水の峰があった。」
過去の三陸の津波被害を記録しただけなのに、この本も怖くて、惹きつけられます。
読み終わって、今回の東日本大震災のあとどうなったのか少し見てみました。
田老町は、

明治と昭和の大津波で、両方とも最大の被害を受けました。そこで、壮大な防潮堤を整備したところ、その後のチリ地震の津波のときには被害が少なかったのだそうです。

ところが、東日本大震災の津波では軽々と乗り越えられ、破壊されてしまって、大被害を受け、現在、高台移転の方向で話が進んでいるようです。
 
旧普代村では、和村幸得村長が反対を押し切って莫大な予算を投じて、15.5メートルの高さの壮大な水門や防潮堤を整備したところ、死者はゼロ、行方不明者は海を見に行ったらしい人1名のみに留めることができたそうです。
津々浦々、それぞれに地形などの事情が異なるでしょうから、何が最善なのかは一概には言えないでしょうが、住んでいる方にとって良い方向で復興が進むといいですね。

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