スイス紀行(その1)みんなスイスが好き
ゲーテ(「スイス紀行」)も新田次郎(「アルプスの山アルプスの谷」)も、そして多くの英国紳士も、スイスを旅した人は、皆スイスが好きになるようです。リヒャルトシュトラウスもアルプス交響曲を書くくらいだから、きっと好きなのでしょう。
高山の澄んだ空気、変化に富んだ風景、確かに魅力的な、日常とは異なる世界です。 でも、多くの旅行客を引きつけ、好感度が高いのは、「おもてなし」があればこそでしょう。
そもそも、高山の澄んだ空気と変化に富んだ風景があるような場所は、一般に不便で、トラブルも多いものです。 観光客を受け入れるインフラと、もてなす人々とがない場合には、きれいな写真にあこがれて来てしまった一般観光客を困惑させることになるだけでしょう。
インフラ面では、交通の時刻が正確で、案内表示も不慣れな旅行者に見やすく配慮されており、ストレスがかかりません。 トレッキングコースはよく整備されており、水洗トイレ、食堂が適切に配備されていて快適・安心です。 宿泊すると、町の乗り物無料券がもらえました。旅行者にとっては、料金よりもむしろ買い方が難しくて、移動が億劫になりがちですが、フリーパスをもらえると、あちこち見て回ろうという気になり、町としては経済波及効果が望めることになりそうです。
しかし、ハード面だけではなく、何といっても、ソフト面で、この地では、旅行者が移動や買い物や宿泊で接することになる窓口の人が、皆愛想がよくて人当たりがよい気がします。
ただ正確なだけで、定型的で冷たい、ということではなく、安心・信頼にプラスして、心地よさ、をいつも感じました。
スイスのホスピタリティー、代表して宿の看板娘アンケルちゃん。
なお、スイスの鉄道では、ライゼゲペックという駅で荷物を預け、別の目的地の駅で受け取るサービスが普及していて、これが便利でした。
余談ですが、
一人当たりGDPは、スイスが世界第4位なのに対し、日本は円安で24位に転落してしまい、スイスの半分以下に過ぎません。
GDPでは、日本は世界第3位となっていますが、少子化で人口が減少するのにこれだけ巨大なGDPを維持するためには、一人当たりのGDPを高めていくしかありません。
人口が縮小していくので、国内市場だけではジリ貧です。外国人に買ってもらわないと経済規模を維持できないでしょう。
その一方で、製造業は、コストの観点から、売れる場所で作る方というのが主流となりつつあり、輸出で稼ぐことも望めなくなりつつあります。
となると、我が国が生きながらえる処方箋は、
第1に、ブランド力で高価格を維持しつつ競争に生き残る
第2に、金融を充実させて世界で稼いだ金を国内に戻し、同時に海外資金も呼び込む
第3に、観光を充実させて外国人に訪日してもらい、国内で消費してもらう
の3点に尽きるでしょう。
スイスは、ブランド(グリュイエール、エメンタール、ロレックス、スウォッチ、ビクトリノクス)、金融(スイス銀行)そして観光と、先進事例として参考になりそうです。
なにしろ、交通も食事も宿も、料金は皆それなりに高いです。なのに旅行者は喜んで割高なお金を払ってくれるというのですから。
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