音楽

2015年1月18日 (日)

訃報

訃報を受けたときに頭の中に何が響くか。

私の場合は、ブルックナーの交響曲7番第2楽章でした。
この部分を作曲しているときに敬慕するワーグナーの訃報を聞いて、嘆きのフレーズとなった、といわれています。
繰り返し現れる重厚な唸るようなフレーズは、最後の部分で高揚して宗教的になっていきます。 あらゆる信仰の深奥の共通部分の赦しというか昇華というか、そういう、人間が原初から知っていた感情は、きっとこのようなものでしょう。

その後に続く第3楽章は、荒野を一陣の風がよぎり、やがて疾風に森全体が轟き咆哮する破壊的な音楽です。
荒々しい爽快さで、これも一種の救いと感じられます。

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2014年12月 6日 (土)

日フィル定期:外山雄三自作指揮など

外山雄三:交響詩「まつら」
外山雄三の民謡をモチーフにした曲は、さしずめスメタナやグリーグのような国民楽派のような、民族的高揚を感じます。

独奏小山実稚恵ベートーベン皇帝
さすが安定感があります。

トッカータとフーガ、ストコフスキー編曲
こてこてのロマン派演歌調。

パッサカリアとフーガ、レスピーギ編曲
鮮やかで軽やかでパステル調。

日フィルは、鮮やか軽やかパステル調の方が、生き生きしていて相性がいい、と感じるのは、私がレスピーギびいきなせいだけではないと思います。

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2009年3月 7日 (土)

コンサート(ベートーベンバイオリン協奏曲、エルガー交響曲1番)

を聴いてきました。
演目は、ベートーベンのバイオリン協奏曲と、エルガーの交響曲1番。

ベートーベン。
もやもやとした2楽章から陽気な3楽章へ、というあたりがのびやかで溌剌としていて、いかにも春らしかったです。
バイオリンソロは、出番のないときは、オーケストラの真ん中に立っているのが居心地悪そうでした。

エルガー。
イギリス人の作曲家らしく、交響曲というジャンルで、実際弦楽器も活躍しているのに、なぜか、ブラスバンド風の響きになってました。

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2008年5月31日 (土)

夏を感じるクラッシック10選その4

第1位 マーラー交響曲第3番
 最初は表題が付けられていて、夏の交響曲、となっていた。
 ハンブルクの劇場で指揮者をしていたマーラーは、夏を避暑地のシュタインバッハで過ごして、そこで夏休み作曲家をしていた。
 弟子のワルターが訪ねてきて湖や岩山を眺めていると、この辺の風景はみんな曲にしてしまったから見る必要はないよ、と言ったとか。
 遠くの駐屯地の軍楽隊のラッパとか、驢馬のいななきとか、郵便馬車のラッパとか、そういう生活のノイズも含めて世界が音で再現されている。
 第2楽章は高原のお花畑。
 第3楽章は森の動物で、郵便馬車のポストホルンが幽玄の雰囲気を加えている。
 第4楽章は夜、
 第5楽章は少年合唱団の鐘の音だかカッコウの声だかの楽しい楽曲。
 そして、長大な終楽章は、真夏の真昼のような、圧倒的で豊かで荘厳な、世界が調和して愛に満ち溢れるようなクライマックスで終わる。
 なお、演奏時間100分は交響曲史上最大で、今なお破られていない。

第2位 ブルックナー交響曲第4番
 ブルックナーの交響曲は深いドイツの森を思わせる。
 どの交響曲もきまって、まず、生命の息吹に満ち溢れるざわめきの中から始まる。
 そして、梢が風に翻って輝き、壮大な森の全景が展開していく。
 次に、鳥のさえずりが聞こえてくる。
 そのあと、遠くから狩のホルンが鳴り響いてくる。
 ま、聞いてみないと分からないだろうが、聞いてみれば、確かに聞こえる、と思う。
 とりわけスケルツォがどの曲も素晴らしい。4番は狩のスケルツォと呼ばれる。ホルンの信号が遠く近く呼び交わす。
 2楽章のゆっくりと踏みしめながら歩くようなアダージョもいい。後半で明るい光がいっぱいに差し込むあたりは、夏、高い山に登るときに亜高山帯の鬱蒼とした針葉樹林を登っていき、ついに稜線に出る瞬間、の、あのなんともいえぬ幸福感に通ずるものがある。
 ということで、夏山に登る時には、よく頭の中をメロディーが廻っている。

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2008年5月30日 (金)

夏を感じるクラッシック10選その3

第3位 真夏の夜の夢(メンデルスゾーン)
特に4曲目の夜想曲は、森の中での仮寝の爽やかな空気が感じられる。
1曲目の序曲のいらいらとした細かな旋律を破って華々しく飛躍するあたりは、物語の始まりを告げるにふさわしく、引き込まれる。
最後の結婚行進曲は古今のクラッシック中でもっとも有名な曲といえよう。若々しくて健全で清々しくて、いかにもメンデルスゾーンらしい。

第4位 春初めてのカッコウを聞いて(ディーリアス)
春一番というけど、日本的な感覚だと、郭公が来るのは青葉茂る初夏なので、夏に入れてみた。
イギリスというのはヘンデルやハイドンに活躍の場を提供するなど、耳は肥えているのに、作曲家は多くない。どれも深みのある癒し系だ。素人受けを狙う派手さもなく、マニアックな緻密さもなく、奇をてらったアイデアもないが、飽きのこない、聞き込むほどに味が出る、食器や文房具のような日用品に備わっていてほしいような、実用性があると思う。
ディーリアスの曲は、ターナーやコンスタブルの風景画と似た、朝靄のような、夕霧のような湿度を感じる。きっと、イギリスの風土と関係があるに違いない。

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2008年5月29日 (木)

夏を感じるクラッシック10選その2

第5位 牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)
ドビュッシーもどことなく夏の香りがする。マチスの絵と共通する明るい軽さがある。フルートの旋律はルソーの絵のようだが、もっと謎めいている。
あっさりしていて爽やかなので、寝苦しい熱帯夜向け。

第6位 カルメン(ビゼー)
アルルの女は確か収穫祭の頃の話だったと思うが、カルメンは季節はいつだったろうか。
いずれにしろ、熱帯夜に聞けば、さらに寝苦しくなるのは間違いない曲。

第7位 ワルキューレの騎行(ワーグナー)
これも暑苦しいイメージの曲。ワーグナーの楽劇を上演するバイロイト音楽祭は夏。ドイツ辺りは夏も活動シーズンなのだろうが、暑い時にこの曲を聞くと、テンションが上がるよりも、不快指数が高まることの方が多そう。

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2008年5月28日 (水)

夏を感じるクラッシック10選

独断と偏見で、選んでみます。まず、第10位から第8位。

第8位 ローマの泉(レスピーギ)
ローマの4つの泉をとりあげ、夜明け、朝、真昼、たそがれ、と1日の情景を描く。
1曲目は、夜明けのジュリア谷の泉。次第に薄明るくなって朝靄が立ち込める谷のひんやりとした空気まで伝わってきそうだ。
2曲目は、ホルンが鳴り響く、一日の始まり。朝日の眩しい抜けるような青空。
3曲目が真昼のトレビの泉。
4曲目、黄昏のメディチ荘の泉、は、日没後、茜色が次第に深くなり、遠く晩鐘が聞こえるなか、次第に宵闇に包まれていく風情が、たいへん美しい。
別に季節が夏と決まっているわけではないけれど、日差しの強い1日のように感じられるので、きっと、夏に違いない。

 
第9位 スペイン奇想曲(リムスキー=コルサコフ)
高校の音楽の授業で、楽譜を渡されて読みながら聞くというのがあった。
この授業のおかげで、スコアを眺めることの面白さに開眼した。聞こえなかった音が聞こえてきて驚かされる。
その時に見ながら聞いたのがこの曲だったが、終曲の最後で冒頭の旋律が再現されるあたりから、急激にテンポが速まっていき、スコアを見ていると、その激しさがよく理解できた。
タンバリン、カスタネット、小太鼓などが活躍する南欧の明るさにあふれた曲。
海軍の軍人として南欧を訪れたロシア人リムスキーコルサコフの躍動が伝わってくる。

第10位 ボレロ(ラヴェル)
特に夏と結びついているわけではなかろうが、もっぱら雰囲気が、熱い。
楽器の取り合わせを変えていくことで、同じメロディーが無限に展開していくのは、音の魔術師の才能を遺憾なく発揮している。耳をそばだてても面白いし、無心に聞いても楽しめる。

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